2016年7月3日 朝礼拝 『正しい者も正しくない者も復活』大賀幸一牧師

使徒言行録24:10-21 
1)パウロエルサレムで逮捕される 
 キリキア生まれのサウロ、パウロは、第3回伝道旅行を終えて舟に乗ってカイサリア、そしてエルサレムに久しぶりに戻って来ました。パウロのエルサレム訪問には大事な目的があります。義捐金をエルサレム教会に届けることです。この募金はイエス様を信じる異邦人教会とイエス様を信じるユダヤの教会とを結びつけるという目的がありました。ユダヤ人のクリスチャンの中には、異邦人クリスチャンを認めようとしない人々が少なからずあったからです。パウロがエルサレム教会のリーダー、イエス様の弟ヤコブさんと会った時、ヤコブたちからパウロについての悪い噂があり、それを払拭するために神殿で清めの儀式に参加して欲しいと求められます。誓願を立てることや清めの儀式に参加することでパウロが神の律法をいかに大事にしているかを示してもらう必要があったからです。清めの儀式が終わった時、待っていたかのようにパウロを狙っている者たちが騒動を起こします。パウロを憎む者たちは暗殺さえも計画したので、ユダヤ地方代官フェリスクのいるカイサリアへ護送されたのです。今日パウロは大祭司アナニアたちにエルサレム神殿で騒動を起こした罪で訴えられているのです。

2) パウロが憎まれる理由 
 何故ユダヤ人たちは、こうまでしてパウロを憎んでいるのでしょうか。それはパウロがユダヤ人を裏切ったとされているからです。ナザレのイエスの分派を弾圧することに積極的であったものが、いつのまにかそのナザレのイエスの分派の一員になっているからです。パウロ自身も代官フェリクスの前で証言しています。わたしはナザレ人イエスの分派に属するものだが、祖先の神様を礼拝している、と。パウロが礼拝する神様は、イエス様を遣わした神様であり、それはユダヤ人たちが礼拝して来た神様なのです。そして正しい者も正しくない者もやがて復活する希望を、神様に対して抱いていると証言しています。パウロが憎まれる理由のもう一つが、神様の救いを異邦人にもたらしたからです。「正しい者も正しくない者もやがて復活する。」これはパウロが発見した事柄ではなく、ファリサイ派ユダヤ人も同様に信じていた事です。但し正しい者とは神の律法に忠実な正しい者であり、正しくない者とは神様の律法に正しくない者、異邦人と呼ばれる人々でもあります。ロマ3:21~22に、「ところが今や、律法とは関係なく、しかも律法と預言者によって立証されて、神の義が示されました。すなわち、イエス・キリストを信じることにより、信じる者すべてに与えられる神の義です。そこには何の差別もありません。」と今まで神様の律法と関係ない者たちもイエス・キリストの贖いによって神の恵みにより無償で義とされるのです。異邦人も復活するのです。

3)パウロの目覚ましい力は、何処から来るのでしょうか。
 パウロ自身は、二コリ12:10、わたしは弱いときにこそ強いからです。と証言しています。パウロ自身は、弁舌が巧みであったとも、姿形が見目麗しいイケメンだったとも言われていません。それどころか手紙の文章は重厚で論理だっているが、話はつまらないと言われています。又パウロには大きな持病があり、何度もこの病気が治ることを祈ったのに、神様は癒すどころか、これがあなたへの恵みであるとしました。人が思い上ることのないために与えられた刺であると。それ故にパウロは、神様の力が、キリストの力が私を通して現れるように、私は自分自身の弱さを誇ろう。大いに自分に弱さがあることを大事にし、この弱さに神様が働いてくださる。用いてくださることを喜ぼう、と証言しています。私たちはあえて自分たちの弱さを誇るべき、私たちの弱さが用いられることを喜ぶべきです。