2019年4月7日 朝礼拝 社会福祉法人 同胞会 創立合同礼拝 『葡萄園の外に放り出す』  大賀幸一牧師

哀歌1:1-14、ルカ20:9-19

1)過去に学ぶ 
 日本国では、新しい元号が制定されました。そしてその言葉は、万葉集という古代の歌集から取られたものだと、聞かされました。しかし不思議です。これから始まる未来を表わすものですのに、なぜ古い時代の書物の中から探し出して来なければならないのでしょう。古い書物からでなく、全く新しい、今までになかった言葉を生み出しても良かったのではないでしょうか。ところが、新しい未来のために、人々は、古い時代の書物の中から言葉を選び取りました。それは、過去を学ぶことが未来を作り上げて行くことだからです。方向が全く逆の様に思えますが、未来を作り上げて行くために必要なのは、過去に学ぶことです。過去に学ぶことがなければ、未来を造りだしては行けないのです。ですから、過去の事柄に学ぶことはとても大切なことです。未来を作り、進むためには、過去に学ばなければならないからです。今日は、少し聖書という古い書物からご一緒に学んでみましょう。

2)ある葡萄園のお話 
 私たちが救い主キリストと信じているイエスが話されたたとえ話です。ある葡萄園のオーナーが、とても素敵な葡萄園を作られ、それをある農夫たちに任せて、長い長い期間旅行に行ってしまいました。それでも収穫の時期になると葡萄園がどうなっているか、収穫はどうかと心配して尋ねて来るのです。いつしか葡萄園を任されて来ました農夫たちは、このブドウ園を自分たちの物にしたくなってしまいます。オーナーが派遣してくる人たちを追い返し、その年の収穫を何一つオーナーには送らないという年が続きました。葡萄園のオーナーは困ってしまい、遂に自分の大切な息子を派遣して来ました。すると、農夫たちは、葡萄園を自分たちのものとするために、オーナーの大切な息子を殺してしまったのです。とても、恐ろしいお話です。このお話を聞いた人々も言いました。そんなことがあってはなりません。
  でもそんなことが人間の世界で起こっているのです。葡萄園は、私たちの世界のことです。農夫というのは、私たち人間の事です。葡萄園のオーナーは、もちろん神様のことです。葡萄園のオーナーは、収穫の分け前が欲しかったのではありません。人間を信頼し、与えてくださった葡萄園が多くの人々と分かち合われることを願っているのです。そして葡萄園のオーナーは、悲しいことを望んではいません。信頼を求めて、大切な愛する人を派遣したのです。とっても大きな信頼を持って、私たちに葡萄園を託しているのです。様々な違いや仲違いを越えて、何度も何度も葡萄園のオーナーは、信頼を送り続けています。人間の世界では、憎しみや裏切りを越えて信頼してい行くのはとても大変です。しかし、葡萄園のオーナーである神様は、わたしたちのことをずっと信頼してくださっています。繰り返し、私たちを愛してくださっています。そんな天の神様の愛と信頼に守られて、私たちの歩みが、同胞会の歩みがあることを覚えて行きましょう。物語では、農夫は葡萄園から追い出されていますが、事実は異なっています。今も私たちは神様に愛されて、この素敵な葡萄園で生かされているのですから。