2023年10月15日 朝礼拝『箱舟の現在』石川立教師

創世記 6章13-14節 ガラテヤの信徒への手紙 2章16-21節

 9月11日にリビアで起こった大洪水はノアの洪水物語を連想させました。ノアの洪水物語では神がノアに建造させた箱舟が人類を救いました。この箱舟を聖書は比喩の形で伝承しています。ノアの箱舟の原語はテーバーと言います。これと同じ単語が出エジプト記2章に出てきます。イスラエル人の男の子はすべてナイル川に放り込めというファラオの命令のもと、幼子モーセは防水されたパピルスの籠に入れられ、ナイル川におかれました。この籠も原語がテーバーです。籠によって命を守られたモーセは後にイスラエルの民をエジプトの奴隷状態から導き出すことになります。この籠はモーセの時代の箱舟です。ルカによる福音書によれば、幼子イエスを迎え入れたのは飼い葉桶だけでした。飼い葉桶は、幼子モーセを乗せた籠、さらにはノアの箱舟に相当します。飼い葉桶の次にイエスを歓迎したのは羊飼いたちです。羊飼いたちは教会の原型とも言えます。イエスを受け入れる飼い葉桶の働きを引き継いだのは羊飼いであり、後の教会です。教会は現代の箱舟だと言うことができます。ガラテヤ書2章には「生きているのは、もはや私ではありません。キリストが私の内に生きておられるのです。私が今、肉において生きているのは、私を愛し、私のためにご自身を献げられた神の子の真実によるものです」とあります(聖書協会共同訳)。ここでの「真実」は「愛」とも言い換えられます。パウロはキリストとその真実・愛を受け入れた信仰の器であり、幼子イエスを迎えた飼い葉桶に相当します。モーセを守った籠、遡ってノアの箱舟、この系譜をパウロは自らに引き受けています。このパウロの信仰は、現代の私たちにも当てはまります。キリストは私たちの内で生きておられ、キリストの真実・愛が内にあって私たちを生かしていてくださいます。私たちもキリストとその愛・真実を受け入れる信仰の器として、飼い葉桶であり、現代の箱舟であると言えます。